東洋大学校友会報 No.272
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TOYO UNIVERSITY ALUMNI ASSOCIATION●2727校友菅かんばら原 齋さい昭和58年文学部哲学科卒。管弦楽団に在籍しファゴットを演奏。都内の老舗文具店、楽譜制作会社、東京ディズニーランドでのキャストを経て、平成22年独立、企業向け研修を全国展開する。現在、合同会社アウェイク事務所代表社員。www.awakeoce.com私の本名は、菅原 斉(かんばら ひとし)です。仕事では、「齋」と変えて「サイ」と名乗っています。北は網走から南は那覇までの企業研修や、全国の商工会議所などからの依頼によるセミナー、経営者さまの相談相手などをさせていただいています。 大学入学前は、父の仕事の関係で小学校を5回、高校も1回転校しています。ですから、4年間ずっと同じ白山校舎で、多くの方々と時間を過ごせた大学時代はとても幸せな時でした。今でも、ホームカミングデーや卒業生が集まる会には、機会があれば参加するようにしています。 私が現在、全国で経営・営業・社内の人間関係づくりなどについてお話しする仕事ができるようになったのは、管弦楽団有志のOB会がきっかけでした。それは、同じ市に住む先輩からの、帰りの電車の中でのたった一つの質問から始まりました。 「ところで、今、どんな仕事しているの?」 「企業研修です。」と答えたものの、当時は、まだディズニーランドをやめたばかりで、自主開催のセミナーとコンサル仲間に頼まれた研修のヘルプでなんとか食いつないでいた時期で、先輩の前で、見栄を張ってしまいました。すると、意外な返事が返ってきました。 「それはちょうど良かった。」 市役所にお勤めの先輩は、今年公民館の館長になり、社会人向け講座の企画に悩んでいるとのことでした。公民館ビジネスセミナー「なぜ、あなたの気持ちは伝わらないのか?」は、こうして始まりました(今年9月には、19回目の開催にいたります)。 これをきっかけに、市内での活動をさらに広げようと思い、私は商工会議所に出向きました。すると、ここでも意外な返事が返ってきました。 「あなたのこと知っていますよ。」 先輩は、セミナーのチラシを刷り増しして、商工会議所のほか、市立図書館へも廻ってくれていたのでした。帰り道は、目が潤んで自転車がこげませんでした。おかげで、市から依頼されている先生ならと、セミナーの依頼を直接いただくことができましたし、その後に受けた講師オーディションでは、会議所での実績があるのでと採用していただきました。今では「経営戦略」や「人材育成」など、毎年50回におよぶセミナーを依頼されていますが、実は″わらしべ長者〟です。 去年はさらに嬉しいことに、校友会名簿で私を見つけていただいた別の先輩から、直接お電話を頂戴しました。その社長さまのおかげで、フランチャイズチェーン加盟店の社長会での講演、営業研修、次世代経営者向けの講座と、経営に直結する名誉あるお仕事をいただいています。 私は大学が好きでしたが、卒業した当時は、ビジネスの知識などほとんどなく、職場では何度となく恥ずかしい思いをしました。こんな私でも今、経営について人前で話をさせていただけるのは、大学で哲学を学ばせてもらったおかげと思っています。哲学は、私にとって最も深く濃い学問です。哲学を理解するのは、とても難解です。私は自分なりにかみ砕いて、その本質を言葉だけでなく、五感すべてで感じ取れるよう変換してきました。この学生時代があったからこそ、今の仕事で多くの受講生さんから「わかりやすい」「実感する」「このことをうちの社員が気づいてくれたら」という評価をいただけているのだと思います。 社名の「アウェイク Awake」は、目覚めるという意味です。「その人本来の潜在的な力を目覚めさせる」ために、「今日から使えるわかりやすさ」で、五感で伝え続けることを私の使命として、これからも前に進んでいきたいと思います。先輩のおかげです。

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