東洋大学校友会報 No.274
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TOYO UNIVERSITY ALUMNI ASSOCIATION●2743者も出てきています。今年の全国高校駅伝女子で仙台育英が優勝しましたが、その監督は釜石慶太君です。私が監督1年目の時にキャプテンでした。箱根駅伝は1、2年は苦しみながら5区を走り、キャプテンの時はインフルエンザで出場できずに裏方に徹していましたが、逆にそういう経験が指導者になって生きていると思います。ひたむきに、謙虚に会長 富山県支部総会でのご講演で、酒井監督は毎年勝ち続けるためには人材の育成が大事であるとして、「ひたむきに継続すること」、「素直で謙虚な心を持つこと」を上げておられました。選手と一緒に生活する中での日頃の教訓として素晴らしいと感じました。酒井監督 実業団、ついで高校の教員を経てきた私自身が思うことは、箱根駅伝も走力を高めることは大事ですが、走力はやがては消えてしまいます。しかし、人間性は消えません。人間性を磨きながら練習をしていくことが重要です。試合の時には、「おごらず、臆さず」挑戦する姿勢を求めますが、部員である以上はしっかりルールを守って、挨拶や寮の清掃をきちんとやり、人々に感謝する気持ちを持つことが、選手たちにとって非常に大事です。それが箱根駅伝でどんなコンディションでもメンバーが替わっても崩れないところだと思います。会長 東洋大学の選手はタスキを渡した後も倒れ込まないですが、やはり日頃の練習の成果でしょうか。酒井監督 そうですね。あと、タスキは笑顔で渡そうと。いろいろな方が応援してくださっているので、走る勇姿と笑顔を見せることが恩返しになると言っています。今、レースで「鉄紺の走り」を確立させようとしています。選手自らが腕に書く「その1秒をけずりだせ」もその一つですが、そのほかにレース中は「怯まず前へ」と攻めの姿勢を出すようにしています。画面から伝わってくる気迫が、鉄紺らしい走りであると選手たちにはよく言っています。会長 駅伝では選手だけでなく、監督も注目を集めます。酒井監督は、「好感が持てる」、「非常に紳士的である」という評判をよく耳にします。何か信条とかあるのですか。酒井監督 各大学、いろいろなカラーがあります。東洋大学にもこれまで培ってきた校風がありますので、私がほかの大学の監督と同じように振る舞うことは、おそらく校友の方々も望まないと思います。私もO‌Bなので、ひたむきに実直にやるのが、東洋大学らしいのかなと思います。 箱根駅伝は、非常にきらびやかな世界で視聴率も30%近く取ります。そこで活躍することは、学生スポーツでありながら、芸能人やプロ野球の一流選手と変わらない扱いを受けることがあります。ふだんは学費を払って普通に勉強している学生であり、卒業したら社会人として生活していくわけですから、そこの現実を自覚させることが昔よりも、より一層大事になってきています。ますます魅力あるチームへ会長 われわれの箱根駅伝の応援は、神奈川県支部の甫水会員を含めたものが中心ですが、そのほかにも各地で行っています。そこでは東洋大学だけでなく他大学への応援も盛んに行われており、学生スポーツに対する温かい気持ちが伝わってきます。酒井監督 レース中の運営管理車に乗っていると、東洋大学の応援は、人数の多さだけでなく熱さもよくわかります。横浜駅前の応援は非常に力になりますし、日比谷公園や増上寺あたりの応援はものすごいです。会長 今年は4年ぶり6度目の往路優勝に輝きましたが、来年は第95回の記念大会です。総合優勝を期待しています。酒井監督 第85回大会と90回大会は優勝しているので、5年ぶりの優勝をねらいたいと思います。会長 全国の校友が一番期待しているのが箱根駅伝ですが、酒井監督から全国の校友に向けてひと言お願いします。酒井監督 東洋大学は、受験者数が非常に伸びていて、以前よりも大学自体の魅力も増しています。そのおかげで東洋のユニフォームを着たいといって陸上競技部へ志願してくる学生も増えてきました。校友の皆さまとこれから、ますます魅力あるチーム作りをしていきたいと思います。ご協力をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。会長 監督には、大変お忙しいなか改めてお礼申し上げます。(平成30年2月20日)

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