東洋大学校友会報『哲碧』No.276
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TEPPEKI3STAR OF TOYO東洋大学のスターたち東洋大学のスターたち東洋大学のスターたち第1回★★連載企画★★★★★★★子なんですよ。創部当時、東洋大相撲部は弱い部で、二部とか三部だったんです。そこに一気に送り込んだ。それから一部の2位にまで上がった、全日本のですね。今でも金沢の高校の総監督とこちらの監督を務めています。向こうが弱くなった、こっちが弱くなったじゃ困るんでね。現在も8・9割の選手が金沢から来ていますよ。東洋大学相撲部のポリシーや特徴は?昔から変わらないんですけど、普通のこと、基本的なことをやらせているだけなんです。一に生活、二に学業、三に相撲。必ずこの順番は忘れないです。きちっとした生活を送っていれば乱れないですよ。これを守らないとスポーツ馬鹿になっちゃうんでね(笑)。「俺は相撲さえしていればそれでいいんだ!」って錯覚する子も出てくるわけです。だからテスト前などは約1か月は、土俵にブルーシートを敷いて机を並べて一斉に勉強させるんです。コーチがみんな監督をして、正座でやらせますよ。いろいろなレベルの子がいるんで一斉にやらせればみんなきちっとやります。どんなに強い子だろうが、どんなに出来る子であろうが。私がここに来てから7年間ずっと行っています。お陰さまで留年生は一人もいないですよ。選手の育て方など、監督の指導に対するお考えは?私が育てたなんて、おこがましくて言えないですよ。親からもらってきたものがあって、私がそれをちょっと手助けしているだけであってね。いいものを見つけてあげて発揮させてあげる。きっかけですよ。「意外と俺にはこういう力があるんだな」って気付くと思うんですよね。後は乗せてあげればいいんで。素質っていうのは親からのものだと思ってます。どう見分けて、どれを伸ばしていくかっていうことを、いかに早く見極めるのかが我々の仕事ですね。人間って何でもきっかけが大事でしょ。あとは、やる気と運です。日本人相撲は弱くなった!?全国的に廃れてしまいましたよ。相撲をやる子が少なくなった。今はありとあらゆるスポーツがある中で、どうしても人気のないスポーツですからね。裸になったり、まわしだったり。やる子も少なくなったし弱くなったと思います。やはり我々がやらなきゃいけないのは環境作りですよ。怪我の元になるようなものはないかとか、やる気にさせるような雰囲気作りだったりとか、そういうのを作ってやるのがまず大事ですね。相撲は怪我が多いように思えるかもしれませんけど、格闘技の中では実は一番怪我が少ないんです。転倒方法もしっかり指導してますし。擦り傷はありますけどね。昔の力士は大きくても90㎏位だったんですけど、今は150㎏位あるんですよ。だけど昔から土俵の大きさは変わらない直径4・55メートルなんですよね。だから昔は一気に押しきれなかったから、技で勝負してたわけです。だけど今は、みんな大きいから一気に押し出す。だから相撲が今物凄く単純になってしまってるんです。決まり手を見ても突き出し・押し出し・寄りきりと単純な技が多い。昔は上手投げ・下手投げ、そういう決まり手が多かった。勝負は淡泊じゃ勝てないですよ。今後の目標は誰もが言うように4連覇ですよ。チャンスさえあればまた優勝はできる。でもドンと落ちてしまったら中々上がれないんです。どうしても波があるからね、いかに底を浅くしないとね。今の子は叱られたことが少ないから、正直言って指導も難しいんです。熱心さを間違えると大変なことになるし厳しい。稽古場に掲げられた相撲部元後援会長の植木等さん

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