東洋大学校友会報 253号
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2TOYO UNIVERSITY ALUMNI ASSOCIATION ● 253特別寄稿村むら田た 諒りょうた太私は、平成16年に東洋大学に入学して以来、ボクシング部でトレーニングに励んできました。しかし、北京オリンピックへの出場機会を逸したこともあり、平成20年3月に現役を引退しました。卒業後は大学職員となり、またボクシング部のコーチとして社会人生活を送っていましたが、やはりオリンピックに出るという、まだかなっていない自身の夢があって何かうずうずした気持ちがあったことと、当時ボクシング部の活動を自粛せざるを得ない問題が起こったこともあり、そういったものをすべて払拭したいという気持ちから現役に復帰しました。正直、現役に復帰した頃は、普通に仕事をしながらボクシングの練習をして、本当に強くなれるのかなという気持ちがありました。もっと恵まれた環境にいる選手とどうしても比べてしまうのです。そのうち、この限られた時間で何ができるのか考えるようになり、自分にとって本当に必要な練習をするという癖がついていったので、最終的にはプラスになったと思います。ただ時間があればいいかというと、そうではないということです。大学時代は、私はボクシングしか知らない狭い世界にいたわけですが、大学職員として社会人生活を送るようになってからは、視野が広がりました。これから、また新しい世界に触れ、私の人生における視野がさらに広がることでしょう。結局、競技から少し離れて自分を見ることは、大事なことなのだと思います。例えば、リング上で打ち合いの試合をしている自分を、他人が10メートル離れて見たとしたら「いい試合しているな、なかなか迫力があるな」と思います。50メートル離れて見たら「ああ、何か試合をやっているな」と思う。そして100メートル、200メートル離れたら、何をやっているかほとんど見えません。1キロ離れたら、何だかわからない豆粒でしかありません。自分のやっているボクシングが、それくらい小さいことでしかないのだと思えると、緊張しないで済むことができます。現役復帰後の平成21年、22年の全日本選手権大会で優勝することができましたが、実力がついてからこそ、目標が見えるわけで、平成23年の世界選手権で銀メダルを獲得してからは、オリンピックでの金メダルをずっと目標として考えるようになりました。オリンピックに向けたトレーニングで、私より練習した人間はいないのではないかと自負しています。ほかの選手が同じメニューをこなしたら、逃げ出すぐらいハードなトレーニングをしました。そうすれば、試合でも練習で出している100の力を出せますし、最後にしんどくなっても、自分は踏ん張れるだけの練習をしたのだと頑張ることができます。練習は、大学の総合スポーツセンターのほかに、ナショナルトレーニングセンター、自衛隊、プロのジムなどで行いました。重量級の選手が少ないので、スパーリングなどはプロのジムを利用しました。昨年の4月に板橋区の清水町に完成した大学の総合スポーツセンターは最高の施設です。あの施設がなかったら、私自ボクシング昭和61年1月奈良県奈良市生まれ高校時代 ボクシング高校5冠を達成平成16年全日本アマチュアボクシング選手権大会初優勝 17年タイ・キングスカップ準優勝 20年3月�経営学部経営学科卒業 21、22年全日本アマチュアボクシング選手権大会優勝 23年�インドネシア・プレジデント・カップ優勝(国際大会初優勝)�世界アマチュアボクシング選手権準優勝全日本アマチュアボクシング選手権大会優勝(同級で3年連続5度目) 24年�ロンドンオリンピックボクシングミドル級金メダル現在東洋大学職員・ボクシング部コーチLondon Olympic 2012時事通信社みんなの力で勝ち取った金メダルの重み

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