東洋大学校友会報255号
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16TOYO UNIVERSITY ALUMNI ASSOCIATION ● 255東洋大学の教育理念校友島県吉野川市に本社を置く創業145年を迎える会社が私の勤めている阿波スピンドル株式会社です。創業は明治元年、江戸初期より家内工業として続けてきた、糸に撚りをかける錘(スピンドル)づくりを事業化させたのが始まりです。代表取締役として6代目を就任した私は、二つの条件を出させて頂きました。一つ目は、社長に就任するのではなく阿波スピンドルの、また従業員の皆さんの代表に就任するのだから、呼び名は「代表」と呼んでもらいたい。二つ目は、会社のトップとして事業経営はもちろんのこと、人材の育成も大きな仕事であり、まだまだ元気で健康なときに次期の役員を育てたい。そのため、代表者としての現役の仕事は、2018年の創業150周年を節目とし、その後は会長へ退き後任の育成に努める。この二つの条件をご理解頂いてトップとしての仕事を開始しました。まず一番に着手したのが、創業の精神の明文化です。21世紀の初頭は、産業革命や明治維新並みの大きな構造の変化が起こる時期でもあります。それに備え、もう一度全員が原点回帰し、創業の精神を熱く語り、色あせない歴史を次世代へ引継ぎたいという思いから、会長と共に3日間の合宿を行い、創業の精神をベースに150周年に向けての経営理念を作成しました。現在では、毎朝全員で我が社のルーツや使命を唱和し、繰り返し言葉として出して頂いています。お陰様で皆さんが会社の歴史や、事業の方向性に触れ、社風が少しずつ変わり、ベクトルが段々と同じ方向へ向かい始めています。また、全社員の家庭へ就任の挨拶と思いを届けるために、1年をかけて一軒一軒訪問し、家族の皆さんともお話をさせてもらいました。最近は、教育の現場や地域と関わる事業、産業界に携わるお仕事も少しずつではありますが、参加をさせて頂けるようになりました。私は機械工学を専攻しておりましたので、川越校舎で4年間を過ごしました。理系で本校からも遠く、ましてや理念や哲学に触れる機会も殆ど無かったと思います。しかし、私の行動を振りかえってみると卒業して30年が経過しようとしている現在にして、少しずつではありますが、「東洋大学の教育理念」を実践している自分に気づきます。【自分の哲学を持つ】多様な価値観を学習し理解するとともに、自己の哲学(人生観・世界観)を持つ人間を育成する。【本質に迫って深く考える】先入観や偏見にとらわれず、物事の本質に迫る仕方で、論理的・体系的に深く考える人間を育成する。【主体的に社会の課題に取り組む】社会の課題に自主的・主体的に取組み、よき人間関係を築いていける人間を育成する。この3つの教えは、今になって私の人生を形成している柱となってきています。売上や利益の拡大に力を注ぎ、デジタルでの関わりが中心となってきている現代社会において、本当の幸せや人と人との関わりに対して、自分の哲学を持つことは、グローバル化している社会の中では一番大切なことだと感じています。当社において一番大切にしている教育は、人間力の向上です。人間力の向上こそが、21世紀の未来を明るいものにするために必要な要件だと信じて取り組んでおります。4年間の学びに、地域や社員の皆さん、学舎の仲間に感謝し、共に豊かな人生を目指し歩んで参ります。木村 雅彦 きむら まさひこ徳昭和35年8月徳島県生まれ昭和58年3月工学部機械工学科卒業昭和58年4月津田駒工業株式会社入社(石川県金沢市)昭和60年4月阿波スピンドル株式会社入社平成元年6月取締役就任平成5年4月常務取締役就任平成17年4月代表取締役就任現在に至る

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