東洋大学校友会報256号
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TOYO UNIVERSITY ALUMNI ASSOCIATION●25629 大切なものを知る和田悠平哲学科4年私は、新潟県胎内市にある胎内アウレッツ館という宿泊施設で9か月間を過ごしました。アウレッツ館は以前国民宿舎でしたが、現在は胎内市営の合宿所兼体験学習施設として営業しています。そこの一室を生活の場として提供していただき、スタッフの一員(研修生)として働いていました。施設の掃除や部屋の点検・補修を主な仕事とし、小学生の体験学習にも同行しました。館内は広く部屋数も多いので、掃除をするのも一日がかりで、張り方すら知らなかった障子は、何枚も張り替えていくうちに手慣れたものとなる程でした。また、体験学習は、市内を流れる胎内川河口でのカヌーやブナ林の広がる奥胎内の散策、焚き火をおこし空き缶を使っての炊飯など内容は幅広く、私自身初めての経験ばかりでサポート役というより体験者として色々なことを学びました。カヌーでは水上を滑るように進む気持ちよさとライフジャケットの重要さ、奥胎内では動植物の名前とその特徴を知り、野外炊すいさん爨では火の特性と空き缶ごはんの意外なおいしさを知ることができました。そして何よりも、体験活動時の小学生たちがとてもいきいきしていたことが印象的です。普段の生活とは違う場で、知識として「知る」だけではなく、実際に体験して「感じる」ことで興味と真剣さが生まれたのだと思います。そうした姿を見て、私は自然体験の大切さを感じ、体験学習を通じて知り合った佐藤陽志さんの運営する『たいない自然学校』の手伝いに行くようになりました。そんなつながりもあり、今は自然学校のような仕事に就こうと考えています。胎内市での生活は宿泊施設に住み込みというかたちでしたが、食事は基本的に自炊だったので初めのうちは料理もしました。しかし徐々に面倒になり、ご飯とインスタントみそ汁のみというシンプルな食事をしていた時期もありました。そんな様子を知ってか地元の方におかずや野菜を頂き、時には夕食をごちそうになることもありました。この時ほど、しっかりとした食事の大事さと食卓を囲む喜びを感じたことはありません。もうひとつ食事に関して印象的だったことは「つみ草料理」を食べたことです。胎内市には地元女性有志による『草花菜会』という団体があり、定期的につみ草料理のレストランを開いています。私はそこにウェイターとして手伝いに行き、閉店後につみ草料理を食べさせてもらいました。道端でよく見かける草や花を和え物や天ぷら、酢の物にしているのですが、イメージと違い苦味はなくどれもおいしくて、彩も豊かなちょっと贅沢な料理を食べている気分になります。何よりも、雑草としか見ていなかったものが料理になるという驚きは大きなものでした。こうして、色々な人との出会いや出来事のあった9か月間の新潟生活は、私にとって決して劇的ではないものの、小さな変化をたくさん感じられたものでした。休学制度を活用して、長期(1年以内)にわたり学業を離れ、社会貢献活動等に参加する経験を通じて、自分自身の将来について再考する時間を持つ学生を支援するための制度です。大学や大学院への入学資格取得後、ボランティアやワーキングホリデーに従事し、社会的経験を積んでから1年後に戻って入学する、英国などで認知されている「ギャップイヤー制度」をモデルにしたもので、東洋大学ではこれを「ステップイヤー」として独自に発展させ、平成24年度より学生の派遣を開始しました。今回の「いま学生 全力疾走」欄には、平成24年度のステップイヤーに応募した二人の学生から、その貴重な経験についてご寄稿いただきました。なお、校友会では平成25年3月11日、二人の社会貢献活動を表彰するとともに、奨励金を授与しました。

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