東洋大学校友会報262号
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TOYO UNIVERSITY ALUMNI ASSOCIATION●26272代目として引き継いで校友田中 英昭 たなか ひであき昭和52年5月 長崎県福江市(現五島市)生まれ平成12年3月 工学部機械工学科卒業平成12年4月 株式会社リコー入社平成18年1月 株式会社チューオー入社平成24年9月 同 代表取締役就任州のさらに西の果て。東シナ海に斜めに並ぶ五つの島、長崎県五島列島。この中の最も南に位置する福江島が私の出身地であり、現在の生活の場である。ここの海は美しく、地元産の魚も肉も本当に美味い。かつては東シナ海を渡り、大陸を目指す遣唐使船の日本最後の寄港地であった。また、禁教令の迫害から逃れるために、本土から多くのキリシタンが移住してきたところでもある。そのため、今でもカトリック信者の割合が高い。こういう歴史的背景もあってか、仕事や生活をしていると、シスターがここの日常に溶け込んでいる光景によく出くわす。保育士、看護師、介護士、栄養士、時には軽トラックを運転するたくましいシスターを見かけることだってある。それ程、この島では歴史的、文化的価値を今なお肌で感じることができる。しかし、私自身これらが地元特有のもので、日本の標準的な日常ではないことに気付いたのは、大学進学で島を離れた後のことだった。この島は、海という大きな外堀に囲まれている。そんな中で、私は島外の状況を的確に知ることができていなかったのであろう。ただ、これらの文化を今日まで守ることができたという意味では、外堀の果たした役割は大きかった。この島に暮らす住民の責務として、今後もこれらの文化を守り大切にしていきたい。こんな島に戻ってきて、家業(事務機器販売)に入り9年が過ぎた。小さい会社ではあるが、今はその2代目として引き継いでいる。2代目経営者の役割とは「新たな事業の創出により、会社をさらに発展させること」だと思っている。そのための努力をしているつもりだが、なかなか思うように結果が出ない。「知識」「分析」「企画」「目標への執着」「社員からの信頼」等の全てにおいて、自分自身の努力がまだまだ不足している証拠である。その中でも特に重要な「社員からの信頼」においては暫く苦労しそうだ。大半の社員は、先代のカリスマ性に引っ張られてこれまで業務をこなしてきた。このカリスマ性というものは、非常に大きな役割を果たしていたのだと最近つくづく実感する。しかし、それはどう頑張っても引き継ぐことが不可能なものである。私が幼少の頃より働いてくれている年上の社員も少なくない。そんな方々を納得させられ、お互いに信頼できる仕組み、社内ルールの整備によりこの問題を乗り越えたい。そして、自分自身のリーダーシップについて、精一杯悩んでいこうと思う。また、この島も昨今の例に漏れず、人口減少甚だしいところだ。現在は、島の中だけを商圏として商売している。しかし、近い将来での商圏の拡大は考えていない。先代とこれまでの社員の方々が築き上げてくれた信頼関係の強いお客様が多数ある。まずは、このお客様に新たな分野の商材と価値を提供することを優先したい。なんだかんだ苦労は多いが、周りには急な事情により、先代からの業務引き継ぎさえできていない仲間もいる。徐々に引き継いでもらえた私は幸せだ。今の自分の少し先までレールを敷いてくれた先代に感謝しながら、2代目としてやるべきことを精一杯、効率良く努力していく決意である。最後に、地元に戻ってきてからは、大学の頃の仲間と交流する機会がほとんど無くなっていた。しかし最近では、facebook等により情報交換の回数も徐々に増えてきた。この校友会活動も含め、同じ大学という縁あって繋がった仲間達であり、先輩方後輩方である。この縁を一生大切にしていきたい。九

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