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変わりゆく池袋

豊島分会 西山陽介(S61・法律)

(豊島区議会議員)

 今、池袋の街が大きく変わってきています。

2019年11月1日、新たな複合施設「Hareza(ハレザ)池袋」(写真①)の一部施設が先行オープン。池袋西口公園は大型ステージを備え、本格的野外クラシックコンサートにも対応します。さらに主要スポットを回遊する赤い電気バス「IKEBUS(イケバス)」(写真②)の定期運行も始まっています。

このような再開発のポイントは “暮らし”へのまなざしがあり、その象徴が「公園」と「トイレ」です。

変わりゆく池袋は「暗い、怖い、汚い」イメージを”文化”で一新しています。

その象徴の一つが、宝塚歌劇の公演も行われる旧区役所庁舎などの跡地再開発によって建設された「東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)」。隣接する中池袋公園は、アニメ・マンガのイベントなどが集まる「聖地」としてリニューアル。今年7月のグランドオープン後は、年間1000万人の集客、480億円の経済波及効果を見込みます。

また池袋駅の東西を結ぶ通路「ウイロード」は、老朽化した薄暗い通路の壁を美術作家が彩り、明るくカラフルな空間に改修しました。

このような取り組みは、旧庁舎の跡地を定期借地権付きで貸し出すことで財源を捻出し、税金を使わずに庁舎を建てた日本初の事例として注目を浴びました。

この池袋エリアが変わるきっかけとなった大きなターニングポイントが2014年、豊島区は日本創生会議が公表した「消滅可能性都市」に、東京23区で唯一該当すると、具体的には、20~39歳の若い女性が大きく減少すると予想されたのです。

文化と融合させる再開発の真っただ中、消滅可能性都市への指定。ショックと危機感をばねに、「住みたい」「訪れたい」街を目指す取り組みは一気に加速することになったのです。

女性、さらにはファミリーが暮らしやすい街づくりを担う担当部署を設置し、住民の声を集めることから始め、また認可保育園を増設し、17、18、20年度は待機児童ゼロを達成しました。

そして18年7月、豊島区の人口は40年ぶりに29万人を突破し、消滅可能性都市に指定された14年と比べると、1万5000人の増加となる。若い女性が暮らしやすいというのは、高齢者や障害者が暮らしやすいことにもつながる。結局、目指すところは”みんなが暮らしやすい街”なのです。

そして池袋エリアの再開発プロジェクトは「4つの公園」が中心となっています。16年にリニューアルした「南池袋公園」(写真③)、ハレザ池袋と一体的にリニューアルした「中池袋公園」、大型の野外ステージを設置した「池袋西口公園」(写真④)、そしてサンシャインシティに隣接する造幣局跡地で整備中の「としまみどりの防災公園」です。

特に南池袋公園は、暗くて近寄りがたい場所から、芝生が広がるきれいで明るい場所に変貌、ベビーカーを押して訪れる人も多く、子どもが走り回る姿が日常的にみられる。また、東京電力地下変電所を誘致するなど、地下を活用することで「稼ぐ公園」としても機能、公園運営のモデルケースとして参考にされることも多いようです。

また新区民センターの2・3階は「日本一きれいな公衆トイレ」(写真⑤)を目指して、2階と3階に全35ブースの女性用トイレを中心とした空間を整備。花王と提携し、清潔な空間を保つための清掃方法などを指導してもらうという。親子で休憩できるエリアや、フィッティングルームなどもあります。隣接する中池袋公園ではコスプレーヤーが訪れるイベントが多いことから、フィッティングルームの需要が見込まれ、きれいで広い公衆トイレは幅広い層に歓迎されそうです。

さらには、トイレの案内や見回りなどを行う「トイレコンシェルジュ」が常駐するという力の入れようです。

そして区内に点在する小規模公園の公衆トイレのうち、老朽化していた24カ所を建て替え、若手アーティストや地域住民の手によってカラフルなペイントなどを施した「アートトイレ」(写真⑥)に刷新しました。

新しい劇場や映画館、コンサート会場などを含む施設が続々と誕生している池袋エリアは、「誰もが主役になれる劇場都市」を体現する街になろうとしている。一方、それを下支えするのは、消滅可能性都市の教訓から得た「身近なところにまちづくりのコンセプトを置く」という考え方。「非日常」と「日常」の両輪で、人口増加とにぎわい創出を目指していきます。

①Hareza(ハレザ)池袋

②電気バス IKEBUS(IKEBUS)

③南池袋公園の芝生広場

④池袋西口公園の野外劇場

⑤としま区民センター2階の公衆トイレ

⑥南長崎公園の「アートトイレ」

写真の出典は豊島区資料より。

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