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伝統芸能の神楽に寄せて

伝統芸能の神楽に寄せて

塩川一美(昭42法卒)

私の住む愛甲地区には、火伏の神を祀る秋葉大権現の御堂があります(江戸時代の頃から)。
戦前戦後、この権現様の縁日に舞台を設け、当時の青年団の人たちが楽器を持ち込み、楽団演奏会やレコードの曲に合わせた踊り(やくざ踊り、マドロスもの等)が行われていました。
しかし、昭和40〜50年代の高度成長期、モーレツ時代に中断しました。
それが平成の時代になって、昔を懐かしむ世代が、子供が増え昔の祭りを復活させようという機運が盛り上がりました。

当時、子供会や青少年健全育成会の委員の私たち数人と商工振興会の皆さんが中心となり、舞台を設け、お祭りと催し物を再開することができました。
この時期に、神楽に興味のある者数名が、この舞台で祭り囃子(太鼓)が叩けるようにと、隣の町に住まわれる神楽の家元・相模里神楽垣澤社中に入団し、神楽とお囃子の稽古をしていただけるようになりました。
それから、私は社中の一員として今日まで家元ともども神楽舞を続けています。

以前、東洋大学校友会神奈川県支部総会時のイベントとして、会場(崎陽軒本店)で箱根駅伝優勝の祈願と会の発展を祝して、お祝いの舞を奉納したこともございます。
振り返れば、平成20年頃までは、どこの地域もお祭りが盛んで、近隣の神社に神楽舞に行ったり、神前で奉納舞に出かけていました。
初めの頃はお手伝いの仕事や、舞台の飾り付けなどをしていました。
それから徐々に、大きな役柄を任せていただけるようになり、お稽古もいろいろな所作を覚えました。
おかげさまで、いろいろな役柄の舞を演じるられるようになりました。

入団してから、約30年が早くも過ぎ去っています。
その間、いろいろな神社や会場に出かけ、大国魂神社の節分祭、5月のくらやみ祭りや、日本の神楽の公演では静岡、鳥取、秋田にも家元中心に社中の皆さんと一緒に行きました。
さらに、横浜能楽堂の公演にも参加でき、貴重な体験をさせていただきました。
最近はコロナ感染予防のため、神社やホールでの公演がほとんどできなくなりました。昔から続く伝統芸能は、演じるチャンスが少なくなると、皆さんから忘れ去られてしまいます。とても残念なことです。
私たちの相模里神楽・垣澤社中の次期4代目家元(今の家元の娘さん)は、神楽舞を新しい方式で発信を続けておられ、将来が期待されています。

次に、東洋大学においても推進されている国際化について、私どものとりくみを紹介させていただきます。
相模里神楽・垣澤社中では、湘北短期大学のオーストラリア留学生たちへの神楽公演を実施し、その時に、留学生3名ほどを特別ゲストとして出演していただいています。
12月6日、校友会神奈川県支部会報編集委員会の皆さんが、同大学の公演を見学されました。
相模里神楽・垣澤社中では、これまでも日本の伝統文化を外国の方、オーストラリア留学生さんたちに知っていただくとともに、国際親善の役に立てばと学校と協議し、すでに10年以上続けています。

昔は、神社のお祭りには必ず境内で芸能の催しがありました。それは、面を被った神楽や農村歌舞伎、芝居、また舞踊などです。
伝えられてきた民族芸能の社中や家元たちは、自分たちがこれまで続けている芸を皆さんに知っていただく、関心を持っていただくことに苦労しています。
普及公演として、小学校や公民館などで、ワークショップにもとりくみ、直接学校に出かけて公演しています。

私たちの里神楽は、仮面をつけてお囃子に合わせて舞をしたり、物語のストーリーを演じます。
演目の内容は、日本書紀や古事記に伝わる神代の昔の出来事を題材にしています。すなわち、日本の歴史だと思います。
社中の皆さんは、日本古来の文化芸能が、これからも続いていくことを願い続けています。

なお、相模里神楽については、次のサイトをご閲覧ください。

〈ホームページ〉https://www.sagami-satokagura.com/

〈YouTube〉https://m.youtube.com/c/sagamisatokagura/

写真左から、東洋大学校友会神奈川県支部の浅野理事・宮崎事務局長、私(塩川)、河野副支部長

 

 

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