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地方都市の行政に携わった知見を、後輩のUIJターンに生かす

東洋大学校友会島根県支部の皆さんへ

月に一回、校友の皆さんから近況等のメッセージを頂き、皆さんにお送りしています。
8月は、出雲市稗原町(ひえばらちょう)にお住いの児玉俊雄さんからのメッセージです。児玉さんは1980年(昭和55年)法学部法律学科を卒業されました。卒業後は行政マンとして、出雲市に勤務され、退職後は出雲市会議員に当選され現在2期目です。また校友会では副支部長を引き受けて頂いています。
今回のタイトルは「地方都市の行政に携わった知見を、後輩のUIJターンに生かす」です。
ご一読ください。

なお、7月22日に島根県支部総会を開催しました。協議内容は校友会本部のホームページの支部トピックスに掲載してあります。
総会では、東洋大学学生への新型コロナ感染症対策特別奨学金「RIBBON」に支部から寄付することも決定しました。
今後の主なスケージュールは、10月の出雲大学駅伝応援、11月の校友会代議員会選挙告示がありますので都度連絡いたします。

島根県支部支部長 福島康治


 

「地方都市の行政に携わった知見を、後輩のUIJターンに生かす」

農家の長男が東京の雑踏で鍛えられた4年

出雲市の中山間地域である人口3,000人余り(当時)の稗原地区に生まれ、同級生50人とともに幼、小、中一貫校のような環境で過ごしました。そして、いつ刷り込まれたのか、高校生になると、ほとんど疑問を持たずに、大学は法学部、卒業したら地元に帰って公務員という、いかにも農家の長男らしいレールを自ら敷いて目標にしていました。
大学進学は、一度は東京に出て、東京の空気を吸ってみたいという思いから、都心にある東洋大学の門をくぐりました。
東京デビュー時には相当の緊張感がありましたが、言葉の壁が支障になることもなく、先輩や友だちと楽しく遊びながら、4年間の学生生活を過ごしました。
やはり東京の魅力とその吸引力は強烈で、実際にふるさとからともに上京した同級生は今も東京で暮らしています。私は東京に残りたいという気持ちにはなりませんでしたが、東京の雑踏が忘れられず、最低1年に1回は上京したいという思いが芽生え、コロナ禍のこの2年は自粛していますが、卒業後ずっと実践しています。

行政マンとして、議員として、ふるさと出雲で暮らした40年

東京一極集中は未だに是正されず、地方都市では人口減少と超高齢化による地域経済の減速や地域の活力低下が深刻化しています。島根県の人口は令和2年の国勢調査において前回調査と比べ3.3%の減、平成2年以降、7回連続の減少です。幸い私の住む出雲市は県内8市の中で唯一前回調査より人口が増加していました。ただ、市内の各地区の状況を見ますと明らかに中心部と周辺部との二極化が進んでいます。なかでも周辺部の中山間地域は人口減少と超高齢化によって地域の疲弊が著しく、地域の活力どころか集落の存続自体が心配されるところがたくさんあります。
最初に紹介した稗原地区の人口は現在、1,630人になってしまいました。私と同年代で都会の大学から帰ってきた者はほとんどいません。現在も若者の都会への流れは変わらず、ふるさとの家族はそれを普通に受け止めているように感じられます。地方都市は長い間、人材を育て都会へ送り出す役割を担い、最近は都会の高齢者が増えたため、逆に地方へ移住させるための政策が進行しています。
地方都市の人口減少と超高齢化を助長する大都市圏優先の政策が繰り返される中で、地方都市がいつまで持ち堪えられるのか本当に不安です。
私は典型的な地方都市であるふるさと出雲市を元気にするため、市職員として36年間、そして市議会議員として4年余り勤めてきました。やはり、若者や子どもが少ないまちは寂しいです。

地方に明るい未来を=都市間の格差にチャレンジ

今年の3月定例市議会で出雲市のU•Iターン就職の促進策について一般質問をしましたので、その一部を載せ、市の対策などをお知らせしたいと思います。

Q1.
新型コロナの影響で都市圏を中心に有効求人倍率が急落する中、島根県は全国3位以内の水準を維持している。コロナ禍が続く中、地元回帰、地方移住の動きが出てくることは、当然に予測されるが、これを大きな流れとして呼び込むには、地方からの強力なアプローチが必要であり、まさに、地方都市の力量が問われている時である。市の取組みを伺う。

A1.
昨年度はコロナ禍により予定通りには開催できなかったが、毎年、地元では就職フェアしまねin出雲や企業説明会を、広島や大阪では学生と市内企業の若手社員との交流会を開催している。また、県外学生向けに市内企業の若手社員が中心となって出雲市での仕事や暮らしの魅力をPRする動画を作成している。

Q2.
私は以前から、市外、県外に行った学生との繋がりを保つことがとにかく大切だと考え、就職や地域の情報だけでなく、年に一回くらいは、地元の特産品を送ってもいいのではないかと提案したこともある。コロナ禍でバイト先がなくて困っている学生を支援するにも個々の学生の情報が必要である。都会に住む学生へのアプローチは容易ではないと思うが、どのような取組みをしているのか伺う。

A2.
学生の情報を入手する仕組みとしては、「しまね学生登録」や「いずも学生登録」は200人程度である。本市の情報を直接届けることができるいずも学生登録の制度は大変有効な手段である。SNSの活用など、対象学生により魅力を感じてもらえるような制度となるよう内容を充実させ、登録者の拡大に努めたい。

このようなやりとりをしました。
地域で育った子どもたちに地域の未来を託したいという気持ちは決して地域のエゴではないと思います。大都市圏と地方都市の格差を埋めるためには、どうしても人材が必要です。
我が校友会島根県支部の令和3年度の取組事項のひとつに在校生のUIJターンの地元就職活動の促進支援を掲げました。校友会の各支部や他の大学のOB会などでも様々な取組みがなされていると思いますが、卒業生、在校生へアプローチするため、まず、大学との情報共有が不可欠です。
一校でも多くの高校、大学そしてOB会がそれぞれの地域の未来のために立ち上がってほしいと願ってやみません。

児玉 俊雄  1980年(昭和55年)法学部法律学科卒業
出雲市稗原町
電話 0853-48-1423
メールアドレス kitazako@icv.ne.jp

 

 

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