母校支援

挫折を経験したからこそ見つけた自分の居場所

はじめまして。2005年社会学部社会心理学科卒業の伊藤健太郎です。今回は私のような未熟者の話で恐縮ですが、このブログを校友の方に読んで頂くことが、自分を振り返る機会となったと同時に、皆さんと繋がりを持つ機会となったことに感謝致します。

スタートから挫折の連続

お恥ずかしいお話ですが 私自身のキャリアは挫折続きで決して人様に話せるようなものではありません。在校生時代に公務員試験を受験しましたが全敗。その後舞台への憧れもあって芝居の世界に入るも全く芽が出ず僅か3年で挫折。何とか生活の為に学習塾の教室長の仕事に就くことが出来るのですが激務やプレッシャーに耐えられずわずか6か月で退職と、挫折の20代スタートでした。様々な仕事を経験しますが、何をやっても手ごたえを感じることがなく空回り状態の日々でした。自分自身のふがいなさに自己嫌悪に陥ってしまったのは言うまでもありません。

大学入学直前のころ

唯一楽しいと感じた障害者福祉の道へ

次はどうしようかと過去を振り返りながら考えた時、学習塾時代に障害を持つお子様への学習指導で苦労しながらも、その子が成長する手応えが唯一楽しかったなという記憶がよみがえり、次のステップとして重度の知的障害者が暮らす入所施設で従業員募集をしていたので、勤務することにしました。その施設での主な業務は、食事介助や入浴介助、作業の補助、外出支援など多岐にわたりますが、時として夜中にガラスを割って無断で外出してしまった方の捜索など体力的にも精神的にも非常に大変な仕事でした。

でも、なぜかこの仕事が自分の性格には合っていたようで、5年近く継続して勤務することが出来たのです。ここで多くの経験を積んだ後、精神障害者や発達障害を抱える方を一般企業で働けるようにする就職サポート施設へ転職。「就労移行支援事業所」の立ち上げおよび現場の責任者などでさらに2社で経験を重ね、2019年11月で障害者福祉歴11年目を迎えることができました。しかし、重労働とはいえ福祉の仕事だけでも10年で2回の転職・・・。自虐的ではありますが、私のキャリアプランの無計画さや根気のなさは大いに反面教師にしていただけたらと思います。ただ、今福祉の仕事には胸を張って「やりがいがある」と言える自分がいるのも事実です。

学生時代のころ

課題解決を通じて見つけた「仕事のやりがいや生きがい」

障害者福祉については学習塾での経験がベースとなっていますが、正直、舞台での芝居や学習塾といった仕事の時と比べてスタート時は「やりたい」という志望動機は薄いものでした。「人手不足だしキャリアの浅い自分でも採用してもらえるだろう」というあまり前向きでない気持ちが強かったのは偽らざる本音です。ただ、最初に勤めた知的障害者を支援する仕事において、目の前の障害を抱える方々と深く関り、根気強く支援することで夜間の無断外出がなくなるなどの問題や課題が解決したときの達成感は非常に大きく、そして段々と気分も前向きになったことは事実です。

成果が前向きを作ると言いますが、まさにそのことを知的障害者の方に教えて貰ったのです。そうなると仕事が楽しいと感じるようになってくるので「どんな大変ことも乗り越えられる」という自信の獲得に繋がりました。そして、「障害者など社会的に困っている人たちを幸せにする」ということが私自身の「仕事のやりがいや生きがい」であるということに気付くことが出来たのです。

母校で講演を行った時の記念ショット

コロナの影響もあり、生活の為に正直あまりやりたくない仕事に就かざるを得ない方もいらっしゃると思いますし、思い通りにならないと感じながら働いている方も多くいらっしゃるかもしれません。でも少し見方を変えるだけで「仕事のやりがいや生きがい」の可能性が眠っているかもしれないのです。今の私はそこに気付くまで課題解決を楽しみながら仕事を継続してみる、という選択肢があっても良いのではないかと思っています。

これからは自分が主体でサポートしていきたい

実は、今の職場を2020年4月末で卒業しました。以前の退職とは異なり、夢を抱いての退職、だから「卒業」とさせて頂きました。状況が状況なのでまだ不透明な部分はあるものの、起業する方向で準備を進めています。障害者はもちろんのこと、ひきこもり、高齢者やシングルマザーなど「就職弱者」と言われる方々の就労をサポートし、幸せに繋げられるような事業の立ち上げを準備しています。「障害者福祉」という「やりがいや生きがい」を持って働けることが今の自分には大きなモチベーションの源泉となっています。

自分が楽しいと思える仕事、やりたいと思う仕事を見つけることは難しいかもしれません。しかし、自分のやりがいが見つけられたのであればチャレンジすることで道が開かれていくと信じて進んでみたいと思っています。そして、いつか校友の皆様とどこかでお会いし、母校の教えを胸に秘めた「やりがいや生きがい」についてお話ができることを心より楽しみにしております。伊藤健太郎チャレンジします!

2005年卒業
社会学部社会心理学科
伊藤 健太郎

カテゴリー