母校支援

他者の為に自己を磨き、活動の中で奮闘する

東洋大学卒業生の皆様、こんにちは。2010年度に経営学部マーケティング学科を卒業しました、吉澤恵介と申します。私は現在、医療社団法人南池袋介護老人保健施設アバンセにて言語聴覚士として従事しております。今回は「奉仕の大切さ」について私なりに考えていることをお話ししたいと思います。よろしくお願いいたします。

白山祭&ゼミ活動に力を注いだ学生時代

大学時代、心に残っている2つの思い出があります。1つは、白山祭実行委員会に所属し、白山祭成功に向けて邁進したこと。私は白山祭当日に行われる企画の立案・運営を行う企画局の一員として、3年生の時には長として活動しました。学生時代から様々な企業の方と関わることが出来たことや100人を超える仲間と一つのものを作り上げたことは非常に良い経験になりました。

もう1つはゼミ活動です。グループワークの発表に向けて議論し、PowerPointを用いて発表資料を作り上げるために勉学に励みました。ゼミ内での発表の際には指導教員の住谷先生から叱咤激励を受けることも度々あり、今となっては良い思い出です。そのようなゼミで学ぶことでPowerPointの使い方やプレゼンテーション手法についても学ぶことが出来、今でも発表や資料作りに活かされています。

今はコロナ禍で大学時代の仲間とはなかなか集まることが出来ませんが、1日も早くこれまでの生活に戻り、また飲み会などを開けるようになることを願うばかりです。

回り道をしたけれど、抱き続けた消えることのない思い

卒業後は、システム開発会社にシステムエンジニアとして就職しましたが、自分が思い描いていた仕事内容とは違っていたため3年半で退職。

退職の理由はもう一つありました。社会人になってから医療職に就きたいという気持ちが強くなったのです。実は、高校時代に怪我を負い、四肢麻痺と原因不明の発声困難に罹った経験があるのです。その時、コミュニケーション手段を失い、人生で1番のもどかしさを感じたことが医療職に就きたいという気持ちを抱くきっかけとなり、その気持ちは長らく心の奥底に残っていました。

私が経験した病態や同じような感情を抱きコミュニケーションが上手く取れない方を援助したいという強い気持ちから一念発起し、28歳の時に日本福祉教育専門学校言語聴覚療法学科に入学しました。

専門学校で新たに学ぶ医学的な勉強や病院での臨床実習等は大学時代の経営学の勉強よりもずっと大変でした。しかし、努力の甲斐あって国家試験を突破し、言語聴覚士の資格を取得しました。

信頼される言語聴覚士を目指して

言語聴覚士という職業名を初めて耳にする方もいらっしゃるのではないでしょうか。主な業務としては、脳卒中後の言語障害(失語症、構音障害)や聴覚障害、小児の言語発達遅滞、コミュニケーションの障害や食べ物・飲み物の飲み込みに関する摂食・嚥下障害に対して検査や評価を行います。その結果をもとにリハビリテーションなどを行っていくのですが、私が関わるのは摂食・嚥下障害の部分です。

勤務している施設には様々な疾患をお持ちの方が入所されていますが主に関わるのは認知症の方。中でも食べ物を認識できない、「食べる」という行為を失念した方、介助が必要な方など様々な病態を抱えています。食べていただくにはどのようにしたらよいか、食事形態や食器具の選定、ご家族への嗜好の聴取などを通して口から食べることが少しでも長く継続できればと日々試行錯誤しながら取り組んでいます。

利用者様の中には失語症や言語障害で上手く相手に気持ちを伝えられない方もいらっしゃいます。そのような方とコミュニケーションが取れた時や、リハビリをして食事形態が嚥下食から一般食へと回復できた時、またリハビリを通して顔見知りになった利用者様から信頼され声を掛けていただけるようになった時、今の仕事に転職して本当に良かったと実感します。

 奉仕の心を忘れずに、社会に役立ちたい

現在、特別支援学校でのボランティア活動や地域の高齢者向けのイベントのお手伝いなどもさせていただいています。様々な年齢層やバックグラウンドをお持ちの方と交流を重ね、職場以外でも自身の知識を向上させると共に奉仕の大切さを忘れず、その延長にある「社会」に貢献できればと考えております。

私の目標は利用者様のニーズに応えるリハビリテーションを提供することで
機能回復や維持を図るセラピストになることです。また利用者様だけでなくご家族のニーズも聴取・把握し、「この人になら任せられる」という信頼を得ることが出来る言語聴覚士になることです。

最後になりますが、今回このような機会をいただいたことに感謝するとともに、多くの方に言語聴覚士という職業があることを認識していただきたいのです。言語障害や飲み込みに関する摂食・嚥下障害にてお困りの方が身の回りにいらっしゃる場合はお近くの病院などの言語聴覚士にご相談いただければ幸いです。

2010年卒業
経営学部マーケティング学科
吉澤 恵介

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