母校支援

一部リーグ昇格!応援ありがとうございました!

1999年法学部経営法学科を卒業した福永 昇三です。2021年の12月に29年ぶりの一部昇格を果たし、卒業生の皆様から大変多くの祝福の声をいただきましたこと、まずは心より感謝申し上げます。

今回はこれまでの実績を通じて得た経験値をもとに、チームとして心掛けていることを書いてみたいと思います。

10度の手術を経験。乗り切れたのは仲間や家族の支えがあってこそ

卒業後は三洋電機ワイルドナイツ(現埼玉ワイルドナイツ)に所属し10年間選手として活動しますが、2009年の日本選手権では、48シーズン目となる悲願の初優勝(日本一)に寄与しました。優勝までのプロセスでは物事の道理を学び、生きる力を多く身につけることができたと思います。

また、ニュージーランドや南アフリカといったラグビー先進国をはじめ、海外での経験やラグビーを通じて繋がった世界中にいる友人や仲間は、今も私にとって輝く宝です。

激しいぶつかり合いなどで怪我も絶えず10度の手術を経験しましたが、時には心が折れそうになることもありました。一見大変とも思えるような出来事や過酷な練習を乗り越えられたのも、仲間や家族の存在と励ましがあってのことです。その度に、あたり前であることのありがたみ、大切さに気づかされました。

選手を引退した後、明治大学ラグビー部でコーチを務め、2018年には縁あって母校の監督に就任することに。60年前の創部当初のメンバーOBの方をはじめ、各世代の大先輩やラグビー関係者の皆様からも激励いただいた事は今も大きなエネルギー源となっています。

「ありがとう」を伝え合う大切さ

良い言葉は力となり行動を起こす原動力へと変わります。ラグビーの世界では、ある領域を超えた試合になると、試合後に観戦された方から「ありがとう」と感謝の言葉をいただくことがありますが、その度に、感動で心と体に強い電気が走るような感覚になります。

「ありがとう」を伝えることはもちろん大切ですが、「ありがとう」を伝え合う機会の創出が私たちの使命であり、後輩たちに一番経験してほしいことなのです。

チームメイトでもあり、母校の後輩になる学生たちと一緒にラグビーを通じて人間力向上を学び共有できることが、大変かけがえのない時間であり、取り組みむ姿勢にも特別な感情が入ります。

2021年の入替戦の際、応援いただいている方々から「ありがとう」の言葉をもらい嬉しそうに話している選手がいたのですが、この光景を見て思わず目頭が熱くなりました。この上ない喜びと美しいエネルギーを持って次のステージへ挑みたいと改めて決意した瞬間でした。

チームで大切にしている3つのこと

チームの結束を高めるために大切にしていることが3つあります。一つ目はチームとしての合言葉、2つ目はコミュニケーション能力の向上、そして3つ目は、「今」という空間で集中する精神力です。


その1 チームの合言葉「かっこいい男になる」

私たちには「ラグビーを哲学する」という理念のもと、「全員が仁者になる」というチームミッションがあります。普段は仁者を少し柔らかく表現し、かっこいい男になる、かっこいい大人になるということを合言葉として掲げています。

ゴミをまたぐよりも拾う人、困っている人がいれば、見て見ぬふりをするより、助けることができる人、人が嫌がることを率先して行うことなどを「かっこいい男」の定義として確立しています。

ラグビーにおいても、人が嫌がりそうな体の部位に痛みのともなう激しい接触プレーを自ら率先して行う選手は格好良く、仲間からの信頼を集めチームを勝利へと導いてくれる存在です。容姿を派手に着飾ることや必要以上に自己をアピールすることはフィールド上において重要ではありません。

献身的に淡々と地道な努力を続ける選手が、緊迫感のあるゲームで最高のパフォーマンスを発揮してくれます。ラグビー競技ではそういった選手の集団こそが勝利の道を進むことができるのだと思っています。私たちは彼らを「かっこいい男」と表現し目指す指標としています。

仁者になる上で「凡事徹底」という言葉をチームとして大切にしています。平凡を非凡に努める意味ではありますが、私たちはさらに「誰でもできることを誰も真似できないくらい徹底して行う」ことを常に意識し、スキルアップを図っています。

一見新しく見える方法や効率よく見えるテクニックに関する情報が、加速する情報化社会で簡単に探すことができるくらい溢れており、勝つための手段として近道をしがちですが、実はあまり結果に繋がることがありません。現代社会では遠回りのように見えるかもしれませんが、凡事徹底こそが最も重要であり近道であると思っています。

ラグビーは体の大きい選手や、小さい選手、足の速い選手、体重の重い選手、それぞれ特徴を生かすポジションがあることをご存知の方も多いと思います。自らの長所を生かしつつ、不足を補いあうことが重要な要素になりますので、チームとして互いに尊重しあい協力することができればチーム全体の成長にも繋がるのです。

東洋大学ラグビー部は、身体面・精神面ともに強く、社会に貢献できるかっこいい男になるための活動のお陰もあって、チームは劇的に成長しており、選手・スタッフ一同、「チーム」を一つの生命体のように捉え、成長のプロセスを皆で楽しんでいるようにさえ感じます。

社会の縮図ととても似ているラグビー競技ですが、競技を引退しても活躍できる人材が多いと感じるのは、日頃の鍛錬の成果かもしれません。今後もかっこいい男の育成に力を入れていきたいと考えています。

その2 コミュニケーション能力の向上を意識し、大切にする

収束の兆しが見えにくいコロナ禍ですが、この状況が22年ぶりのリーグ優勝(2020年12月)を勝ち取れた要因の一つであったと思っています。選手は日頃からネガティブな事象が起きても、ポジティブな要素や事象にフォーカスすることを心がけ、言葉を選び発信をしています。

例えば、対面で十分な練習ができなくても、オンラインを使った画面越しのストレッチや対話のコミュニケーションを取るだけでも精神面含めたトレーニングになるわけです。

おかげでパンデミックの中でもラグビーのある日常、生活がどれほど大切であるかだけではなく、ラグビーをできることが当たり前ではなく、特別な時間であることにも気づかされました。こういった一つ一つの言葉や思い、行動を大切にできるからこそ、2021年12月、29年ぶりの1部リーグ昇格に繋げることができたと考えています。

その3 「今」という空間・時間に集中すること

過去でも未来でもなく、常に「今ここに集中すること」だけにフォーカスすることがポイントです。これからは新しいステージでレベルアップを目指すわけですが、とてもエキサイティングな領域へとシフトしていくことになります。日々自己研鑽に励み、そして「今」に集中し、大切にしながら皆様に感動と喜び、元気をお届けすることも私たちのミッションでもありますので、意識しながら挑戦を続けていきたいと思ってます。

応援をお願いします!

大学選手権出場、日本一の学生チャンピオンにふさわしいチームとなるよう精進してまいりますので、どうか今後とも東洋大学体育会ラグビーのご支援を宜しくお願い致します。皆様におかれましても、どうかご自愛ください。

1999年
法学部経営法学科卒業
福永 昇三

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