母校支援

和紙文化を伝えるワークショップ開催

ウクライナからの学生さんたちに書道文化を伝える

東洋大学がウクライナ支援として受け入れている避難学生さんたちから、日本文化である書道を体験したいという要望があり、7月から書道講座を開講しています。この講座では、日本の書道文化の理解を深めるためには半紙に文字を書くだけでなく、書道に必要な用具類(紙、墨、筆など)の話、とりわけ、それらの職人さんたちが書道文化を下支えし守ってきたこと、そして、その後継者不足の課題があること等の背景についてもお話ししています。

「かな料紙」制作ワークショップを開催

去る10月21日(金)4限目、白山キャンパス6号館6316教室にて、この書道講座の一環として「かな料紙」制作の体験ワークショップを開催しました。講師は、「小室かな料紙工房」3代目の小室久氏で、茨城県常陸太田市で無形文化財の指定を受けている方です。

かな料紙は、書道のかな文字を書くための用紙として、平安時代に「かな文字」が発達していくのに呼応して発達してきたと言われています。しかしながら、そればかりではなく、かな料紙を眺めるだけで絢爛豪華で雅やかな世界が広がり、平安の世に思いを馳せていくと、改めて日本人の美意識の高さを感じることができます。

料紙の種類には「染紙」「唐紙」「箔装飾紙」「継紙」などがあります。小室氏のかな料紙は、染色、木版画・摺り、箔装飾、紙継ぎなどのすべての制作工程を一人の職人が行うスタイルが特徴です。今回のワークショップでは「継紙」の制作工程の一つである“紙継ぎ”の体験をしました。「継紙」は色やデザインの異なる紙を様々な形に切ったり破ったりして再び貼り合わせたものを言います。

今回のワークショップは、

①紙を切る

②組み合わせる(デザインの検討)

③やすりをかける

④貼り合わせる

作業を行い、参加者は思い思いのデザインでハガキ大の継紙を5枚完成させました。とくに③のやすりがけは、かな料紙が本来かな文字を書くための用紙であるので、継ぎ目となる部分にやすりをかけておいてから糊貼りすることで、段差が無くなり筆が運びやすくなるとのことで、このひと手間には職人の技術と手仕事の美しさを感じました。

学生さんたちにとっても講師の先生にとっても貴重な体験に

実際に体験したウクライナの学生さんは、「和紙文化を知ることができてワークショップも楽しかった」「和紙の模様がとても美しかった」と感想を話してくれました。また、小室氏は「大学の教室で講義をするのは貴重な体験でした。何よりもウクライナの学生さんが楽しんでもらえたことが良かったです」と話していました。

今回、ワークショップの開催にあたり、東洋大学校友会様には多大なるご協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。

東洋大学文学部日本文学文化学科卒
東洋大学大学院文学研究科日本文学文化専攻博士前期課程修了
印出隆之

関連情報

◆小室かな料紙工房HP
https://kanaryoshi.com

◆ウクライナの留学生とサポートする日本人学生との交流がNHKニュースで放送されました。

ウクライナから本学文学部に留学中のポリャチェンコ・アリナさんを大学院文学研究科博士前期課程の江東寧々さんがサポートする様子をNHKニュース「おはよう日本」が取材し、2022年12月11日に放送されました。
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