母校支援

“なんとなく”から“やりがい”の仕事へ

インテツを選んだ理由と学生時代

1996年に文学部印度哲学科に入学しました。印度哲学を学びたいというより、周りの人と違うことを学びたいという“なんとなく”の理由でした。入学してみると印度哲学科は大学内で「インテツ」とよばれ、変わった人の集まりのような印象を持たれていたようですが、自分にとってはそれが逆に心地よく、優越感すら感じていました。

当時学んだことは正直あまり覚えていませんが、ある授業で聞いた「哲学を4年で習得できるわけがない」という言葉に甘え、サークルとアルバイトに精を出した4年間でした。所属したのはSRC WITHというサークルで、夏はテニス、バーベキュー、冬はスノーボードを楽しんでいました。

毎年合宿もあり、北海道にも行きました。軟派なイメージがありますが、男子は大学のみ、女子は短大のみで構成されていて、1・2年生は朝霞校舎だったので男性のみの硬派なサークルでした。今思えば、ここでの経験は社会人になってからも大いに活かされています。先輩後輩の付き合い方、話し方、楽しませ方など、先輩たちはとにかく面白くて、お笑い芸人にも勝るセンスがありました。

ここ数年はなかなか集まることができていませんが、今でも連絡は取り合っていて、みんな心の許せるよき友です。

福祉の業界へ、選んだ理由は…

2000年に卒業して産業用ロボットを製造販売する企業に就職しましたが、人と違うことがしたいという欲求が湧き、当時設立されたばかりのNPO法人に「めずらしい」という理由で転職しました。

生活困窮者の住宅や就労支援に携わることになり、ここで初めて福祉の業界に出会いました。“なんとなく”やりはじめた仕事が、今日まで20年、福祉の世界にどっぷり浸かることになったのです。

10年前からは、障害者支援の部署へ異動願いを出し、その部署が、現在は社会福祉法人SHIPという法人として生まれ変わりました。そこで直面したのが障害者支援の難しさでした。

私にとって転機となったある利用者さんとの関わり

NPOでは、どちらかというとマネジメントが中心でしたので、利用者さんひとりひとりへの支援というのは障害者施設を担当するようになってからです。最初に担当した利用者さんは、障害者グループホームで生活する広汎性発達障害と診断された方でした。

その方は、生活能力は全く問題がないのですが、反面、対人関係の衝突やストレスが多いという特性がありました。とにかく話が長く、同じ話を繰り返し、まだ支援スキルが不足していた自分にとって、できることはただただすべての話を聞くことのみ。

それを1年以上続けた支援者の私としては「やってる感」はありましたが、それも毎日聞いていると次第に辛くなってきました。端からみれば熱心な良い支援者に見えるかもしれませんが、このままでは支援者側の私がつぶれてしまいそうでした。しかも、利用者さんの課題が改善されるどころか、対人関係はかえって悪くなったようにさえ感じていたのです。

そんな行き詰まり感に悩んでいた時、思い至ったのは社会福祉法人SHIPが掲げる理念の中の次の2つでした。

「 支援される部分を少なくし、自分のできる部分を増やすこと 」
「 障害の部分は社会資源を活用して補完し、自立へ導くこと 」

そこで、広汎性発達障害の利用者さんには、特に2つ目の社会資源を活用することに注力しました。利用者さんが関わっている通所施設、病院、福祉課のケースワーカーなどすべてのキーパーソンに会い、課題を共有し、支援の方向性をみんなで協議しながら進めることになり、個人で抱えていた頃より気持ちが楽になったことを覚えています。

また、精神科のドクターとも話をするようになり、同じ話を聞くにも技術が必要ということを知り、様々な療法や面談技法などを取り入れるようにしました。その後、私自身が異動になりましたが、その利用者さんは、今ではグループホームを卒業し、一人暮らしを続けていると聞いてほっとしています。

今思えば、理念に立ち返り、関わり方を変えることに気づけたことが、利用者さんにとっても、私自身にとっても大事なターニングポイントになったと感じています。

在校生の皆さんに伝えたいこと

現在、私は新規開設や採用などの運営にかかわっています。社会福祉法人の役割のひとつに、福祉の未来を担う人材の育成があります。また、国家資格取得を目指す学生を実習生として受け入れています。

社会福祉法人SHIPでは、精神疾患をもつ方から重度知的障害をもつ方まで受け入れています。支援方法も利用者ごとに全く異なりますが、それぞれの分野の経験豊富な職員が、さらにSHIPで学びを深め内部研修やOJTで支援技術を伝承しています。

法人の強みは「根拠のある支援」「支援スキルの専門性」を習得できることです。経験豊富な職員が講師を務める内部研修に力を入れ、また研修時間を確保できるように人員体制を強化しています。詳しくはこちらhttps://www.swsc-ship.com/info/へのリンク)をご覧ください。

採用面接で前職の退職理由をお聞きすると、「職員不足で研修どころではなかった」「支援技術を教えてくれる上司がいなかった」「研修で学んだけど実際にはなかなか・・・」という話をよく聞きます。SHIPでは、ただ学ぶだけではなく、「どうすれば現場に還元できるか」を職員ひとり一人が考えながら研修に臨んでいます。

福祉の仕事を目指している方は、会社訪問やホームページでその専門性をよく吟味されると、良い会社に巡り合えるかと思います。

また、当時の私のように全く福祉に興味がなくても、実際に携わってみると奥が深く、とても興味深い分野です。これから社会で活躍していく在校生の皆さんへ、実習や就職の相談などいつでも受け付けております。皆さんとの出会いをお待ちしております。

2000年卒業
文学部印度哲学科
高橋 誠司
社会福祉法人SHIP 本部
https://www.swsc-ship.com/

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