母校支援

魂の最終講義~元副学長の教育への想い~

一通のメールに心が震える瞬間

 校友会から発信させていただいているメールマガジンのお陰で、最近よく感想、質問、そして要望のメールを頂戴します。いずれも母校愛に満ちた方々からのメールですので校友会事務局にとっては、まさに栄養剤となっています。その校友の皆様からのメールの中に「元気をもらいました。東洋大学の卒業生で良かったと思う瞬間を報告させてください」と海外、それもタイから届いたものがありました。

内容を拝見すると、現在タイの工場でものづくりに励んでおられ、今回卒業生仲間の話で「研究室の先生が退任後も頑張っておられるのだから、我々に最終講義をやってもらおう」ということになり、11月にその最終講義が実現したことを皮切りに、是非その感動を他の校友にも伝えてほしいとのこと。

その先生は、現在校友会会長として校友会改革の先頭で走り、名誉教授として母校の産学連携に駆け回っておられる神田名誉教授だったのです。あとから会長ご本人に伺ったのですが、退任時は副学長としての職務に追われ、最終講義をゼミOBOGに伝える余裕もなかったことから、現役の学生にだけ実施したとのことです。今回は、タイ、インド、中国からZoomを介して現地で活躍している研究室OBOGが参加してくれました。

講義の内容 ~日本のものづくりへの想いと教え子への強烈なメッセージ~

OBOGの強い要望に応えた「本当に最後の最終講義」は聴いている教え子たちを奮い立たせるものだったようです。1961年実践的エンジニアの育成を目的として設立された東洋大学工学部の精神を引き継いで、今から32年前の1991年「神田研究室」がスタートします。

MT(Manufacturing Technology=製造技術)とIT(情報技術)の融合をテーマに、機械振興協会技術研究所、東京大学谷研究室、埼玉県産業技術総合センター、ドイツ技術経済応用科学大学、そして様々な企業と研究協力を経て、神田研究室は「生産自動化研究室」そして「生産工学研究室」へと進化していく流れをベースに話は始まったそうです。

そもそもものづくりとは何か?人類誕生から現在のAIの利用に至るまでのものづくりの変遷に触れ、現在主流となる「サステナブルなものづくり、つまり循環型ものづくり」に至るまでを淡々と話す神田名誉教授に皆引き込まれていったそうです。

研究室にいた学生たちは、「そうだよな。我々は常に前を向いて奮闘しなくてはいけないんだ・・・・」と腹落ち。

そして、後半になると日本の失われた30年に何が不足しているかを、周囲の環境から解きほぐし、日本ならではの生産文化創出の必要性とそれが出来る実例根拠を示しながら自信を皆に植え付けていく・・・もうこの時点で教え子たちは初心に帰るとともに、今自分が何をすべきかについて頭をフル回転させ、感動とやる気に包まれていったとのこと。

そうだ我々は「おもてなし」の気持ちが染みつき、倹約精神である始末の心を持つ日本人。我々だからできることは必ずある・・・と聴講されている方々の目が輝いていたそうです。そして最後に神田名誉教授は、いつもの笑顔と優しい口調で「21世紀のものづくりのための新しいシナリオ作り、奮闘する主役は君たちだ」と教育者らしい言葉で最終講義を結びました。

他者のために自己を磨く

現在も母校の産学連携支援で活躍する神田名誉教授ですが、129年の歴史を紡ぐ一般社団法人東洋大学校友会の会長としても、東洋大学の心について30万を超える校友とともに引き継いで進化させるべく奮闘をされています。

今回、その教え子の方からの情報で「本当に最後の最終講義」を知り、その機会に触れた我々までも、神田会長の取り組みに敬意を表するだけでなく、駅伝ではないですが、自分達の反省や視点を後世に伝承する母校東洋大学は改めて素晴らしいものだと思いました。

匿名で今回の状況を伝えていただいた教え子の方には改めて感謝申し上げるとともに、「他者のために自己を磨く」東洋大学卒業生の一員として、校友会も哲学の大学らしく物の本質を深くとらえ、他者のために自己を磨く姿勢を堅持し、進化していく決意を新たにしています。

2024年のスタートが切られ、早くも1か月が経とうとしていますが、一人でも多くの校友の皆様と共に、更なる進化を遂げていきたいと存じます。なお、今回のメルマガの感想、校友会に対する要望等ございましたら遠慮なくメールをいただければ幸いです。

添付資料
「本当に最後の最終講義」資料

東洋大学校友会事務局

 

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