県警本部で島根県民の安心と安全を考える
学生時代の思い出
私が東洋大学に入学したのは1996年(平成8年)4月で、2000年(平成12年)3月まで4年間の大学生活を過ごしました。しかし、法学部法律学科の一学生として、当時1、2年生は朝霞キャンパスで、3、4年は白山キャンパスで授業を受けておりました。学生時代は、学問一筋という学生ではありませんでしたが、しかし「夢とか希望とか」があった時代でもありました。
法学部に入学した時点で人権問題に興味がありましたので憲法のゼミを専攻したことを覚えています。4年間を通して、物事を論理的に考える力が養成されました。「岩波基本六法」に赤ペンラインを書きこんだり、手垢で汚れた記憶があります。
東京での学生生活の充実さは皆さんもご存知のとおり、授業だけではありません。東京の街を回って歩いて、見るもの、聞くものが新鮮で膚で社会を吸収していくという学生でした。それはそれなりに楽しい充実した時代でした。
当時お金は全く持っておりませんでしたが、時間は今と比べて十分ありましたので、お金をかけない節約旅行ではありましたが、関東から東北を中心にいろいろなところを見て回ることもできました。(今はお金も時間もありませんが.・・・)
氷河期を突破し警察官になる
卒業が近づいてくると就職活動をしなければなりませんでした。当時は『就職氷河期』と呼ばれた時期で、就職活動は困難を極めましたが、「法律を活かす仕事に就きたい」と思い、島根県警察を受け内定をもらいました。大学卒業後は無職にはならずに済むと安心したのを覚えています。大学に報告に行った時、就職担当者からわがことの様に大変喜んでいただきました。
ただ、授業よりも社会学習や対人関係を重視した為、大学4年生時点で卒業に必要な単位がかなり残っており、就職先は決まったのに卒業できないかもしれないという苦境に立たされました。しかし、何とか留年せずに卒業させていただくことができました。東洋大学に感謝です。
卒業後は、島根県にUターン就職しましたが、仕事や研修で上京した際に学生時代のことを思い出し、朝霞キャンパスや白山キャンパスに足を運んだことがあります。
私が学生時代の頃の朝霞キャンパスは畑の中に校舎があり、白山キャンパスは常に工事をしていたという印象がありますが、学生時代と比べ、朝霞キャンパスは規模的に半分程度に、白山キャンパスは工事が終わり、立派なキャンパスになりました。特に朝霞キャンパスの変わりようには驚きました。大学のキャンパスの変化を通じて都会は変化が激しいというのを肌身で感じた次第です。
特殊詐欺に立ち向かう
卒業後、警察官となり、現在は島根県警察本部で主に島根県内で発生する犯罪を減らすための仕事をしています。大学での授業内容が、社会にでても役に立つというのは、幸せな事だと思っています。
特に、県民の皆様が特殊詐欺の被害に合わないようにするための広報や、最近では、SNS型投資・ロマンス詐欺といった新たな詐欺の手口により多額の被害が発生していますので、そのような詐欺に騙されないようにするための広報に関する業務を中心に行っています。
最近、島根県内では、SNS型投資詐欺の被害が多発しております。このSNS型投資詐欺とは、インターネット上に著名人の名前や写真を悪用した嘘の投資広告を出したり、「必ず儲かる投資方法を教えます」などとメッセージを送るなどしてSNSに誘導し、投資に関するメッセージのやりとりを重ねて信用させ、最終的には「投資」という形で犯人が指定した口座に金銭を振り込ませるというものです。
投資により利益が出ていると見せかけますが、お金を引き出そうとすると「手数料が必要」、「税金を払ってもらわないといけない」などと言われ、最終的には犯人と連絡が取れなくなり、いままで振り込んだお金をだまし取られていたこということになるのです。
犯人は、投資による利益が出ていると見せかけているため、被害に遭われた方は詐欺と気づくまで何度も犯人が指定した口座に金銭を振り込んでしまいます。SNSで知り合っただけの者から投資を勧められた場合には、詐欺を疑ってください。
また、この詐欺の特徴として、
①被害者を信用させるため、最初の1回は投資の利益と称する金銭が被害者の口座に振り込まれる
②投資のための振込先として個人名義の口座が指定される
③振り込むたびに振込先の口座が変わる
ということがあります。皆様も詐欺の被害に遭わないよう十分に注意していただきたいと思います。
後輩の皆さんへ
自然が豊か、穏やかな人間関係がある、住みやすい島根です。是非、島根県で(出来たら島根県警察で)働きませんか。大学で学んだ事や、経験が島根で十分発揮できます。私は、卒業後20年以上たちますが、大学で学んだ法律、経験を生かして、校歌の一文『雄々しく揚げたり鬨の声』を胸に頑張っています。
長文で大変失礼いたしました。末筆ながら東洋大学の益々の発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げて終わりとさせていただきます。
松本 光広
2000年(平成12年)法学部法律学科卒
松江市在住