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真の国際化に必要なこととは?

皆さん、こんにちは。平成元年(1989年)に文学部国文学科を卒業した原です。
卒業以来、株式会社 熊谷組に勤務しており、現在は台湾に駐在しております。今年で駐在25年目、その前の香港・広東広州時代を含めると、海外勤務は合計30年となりました。 

変わりゆくグローバルの定義。かつての「外」は日常に

私の経験から、これから日本を背負う方々へお伝えしたいことがあります。 私が海外に出始めた頃、よく周囲から「日本に帰ってきたら仕事ができなくなるぞ」と言われました。当時の日本は、バブルが終焉に向かいつつも、世界的にはまだ圧倒的な存在感と価値観を持っていました。その価値観こそが「正解」だった時代です。

しかし最近、私が強く思うのは、むしろ国内にいる日本人に対しての危惧です。「そんなことでは、世界で仕事ができなくなるぞ!」という考えが強くなりました。 今の日本には多くの観光客が訪れ、同時に通信環境の整備、いわゆるグローバル化によって国境の垣根は低くなってきています。仕事という面でも、外資系企業や外国人社員、投資家が増え、かつての日本の「外」という概念が日常の「内」に入ってきているのです。つまり皆さんはすでに、日本に居ながらにして「国際人」になっているのです。

真の国際人とは?それは自分の国を知る人である

このような環境で今後いかに仕事をこなしていくか?と問いかけたとき、大切なのは、社会に出る前にどれだけ「国際的な感覚」を身につけられるのか、という考え方です。 実際に海外へ出る、外国語を習得する、国内で外国人の友人を作るなど、手段は何でも構いません。大切なのは、その感覚を通じて「日本と日本人」を深く知ることにあります。そして、国際社会へ飛び出したとき、日本人としての意識・自信・誇りを捨ててはいけません。それこそが「真の国際人」だと私は考えます。

つまり、決して日本人ということを忘れることなく、如何に世界の中で仕事を熟していけるかを身に着けていかれるか。それが国内外での国際化に対応できる「事」だったり「人」なのかもしれません。

世界が驚く日本の「当たり前」

日本人が世界に誇れることは、実はたくさんあります。よく「日本はキャッシュレス化が遅れている」と言われます。確かに利便性は必要ですが、海外でキャッシュレスが普及する背景には「偽札が多く、現金の信用が低い」という切実な理由があります。日本円が変動しても、日本札という「紙幣の質と信用」は世界最強です。この現金の強さは、実は世界的に見て大変なことなのです。しかし、日本人は中々実感湧きませんよね。

また、ゼネコンでの経験からお話しすると、少し専門的になりますが、日本には「ユニット工法」という建築方法があります。別の場所(工場)で製作した柱や梁といった部品を現場に持ってきて組み立てるこの方法は、決して新工法ではなく、日本では古くから大工さんが行っていた工法です。精密な図面、製作技術、そしてそれを順序よく組み立てるチームワークが不可欠です。

研修で日本へ連れて行った台湾人にこれを見せたところ、ひとこと「これはできません、台湾では毎朝規定通りに人が来ません。」と会話が終わってしまいました。おそらく別な国でも同じことでしょう。このくらい、日本人の規則正しさ生真面目さは優秀で誇れるのです。これらの例からみても、我々が当たり前だと思って行っている作法、動作、所作の中で海外に誇れることがたくさんあるのです。

悩みの先にある、豊かな自分自身の姿

日本という国や日本人であることを忘れずに世界に誇ってください。その上で世界に出てください、外国人と仕事をしてみてください。そして、悩んで苦しんでみてください。その悩みや苦しみは大きいものですが、その経験は自分自身の実になり、自分自身を豊かにします。これは私自身が経験してきたものです。「日本人としての自信」が、いつしか「世界で仕事ができる国際人としての自信」へと変わっていくはずです。

最後になりますが、もし台湾に来られる機会があれば、いつでもご連絡ください。同窓の皆さんとお会いできるのを楽しみに待っています。

台湾最大の都市・台北市に完工済の高層芸術住宅「陶朱隠園(タオヂュインユェン)」
https://www.kumagaigumi.co.jp/works/pickup/002498.html

1989年
文学部国文学科卒
原 昇義様

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