フランスに住めば哲学は身近なもの【前編】
「普通の卒業生」の私が、母校を思い出すまで
「卒業生活躍」という項目に当てはまらない普通の卒業生なのですが、ちょうど人生の半世紀を迎えたこの夏、校友会の方からお話をいただき、自分自身の備忘録、またこのブログを読んでくださる方の、何かのお役に立てれば?と思い書かせていただくことになりました。よろしくお願いします。
高校3年の夏、父の「経営法学科なら法学も経営も学べるのでは?」の一言で、東洋大学の法学部経営法学科を受験しました。入学後、大学では法学、経営学を学ぶどころかほとんど勉強もせず、軟式野球部のマネージャー活動とバイトに明け暮れてしまった4年間でした。
その軟式野球部は2026年に創部50年、そして2025年夏の第48回全日本学生軟式野球選手権大会で準優勝!何だかとても嬉しい今日この頃です。
軟式野球部のマネージャー活動とバイトに明け暮れた在学時代
就職氷河期と、野球部マネージャーが繋いだ「縁」
大学時代に打ち込んだバイトは、ビックカメラ池袋本店の事務所での配送伝票の打ち込みや電話応対と雑務がメインでした。当時、月16日以上アルバイトをすると交通費が支給されるので交通費欲しさに週4日入っていました。
配置された本店の事務所には、電機メーカーをはじめ取引のある会社の営業の方が毎日訪れていて、各部門の責任者と商談・交渉している様子を間近で見ることができ、とても勉強になりました。そして「就職するなら自社商品を売り込むメーカーに勤めたい!食べることが好きなので飲料か食品!」と思うようになったのです。
しかし、その頃は就職氷河期と呼ばれ、女性、しかも4大卒の就職はとても厳しいものでした。当時は今のようにネットで応募するのではなく、手書きのハガキや手紙の時代です。私は80社近くハガキで資料請求をし、返信は約半分。
その中でも説明会まで行けたのは20社ぐらいだったでしょうか。面接まで行っても落ちまくり、夏休み前に周りの友達はほとんど就職が決まっていたのに、私は決まらず不安になったものです。
これを機に留学してみようかと思った矢先、食料品メーカーから「来年度の新卒採用をしますが、説明会に来ませんか?」との連絡が!飛びつくように説明会へ向かいました。
当時、その会社は読売ジャイアンツのスポンサーもしていたので、人事の方や役員の方とは野球の話で大盛り上がり! とんとん拍子で面接が進み、採用が決まりました。軟式野球部のマネージャーをしていたことが功を奏したようです。あの頃も、今も思うのですが「人生に無駄なことはないっ!」と。
食料品メーカー勤務時代
予想外のフランス生活。華やかなイメージの裏側で
食料品メーカーを退職後は紆余曲折を経ながら様々な経験を重ね、現在フランスのパリ西郊外、ヴェルサイユ宮殿のある街ヴェルサイユに住んでいます。日本から遠く離れた国に住むことになるとは全く想像していませんでした。
大学時代に第二外国語でフランス語を勉強していて……と書ければもっと「人生に無駄はない!」と力説できるのですが、大学時代の第二外国語は中国語。英語も流暢だったわけではないまま、フランスに来てしまいました。
余談ですが、2013年から3年間、夫の仕事の関係で中国湖北省武漢に駐在していたので、第二外国語の中国語はここでだいぶ役に立ちました。「人生に無駄なことはやはりない!」と思います。
日本でフランスというと「おフランス」と呼ばれたりして、とても好印象の国です。エッフェル塔、凱旋門、怪盗ルパンさながらの強盗事件があったルーブル美術館やオルセー美術館、ロダン美術館などフランスには大小合わせて1000以上の美術館があります。
また、ヴェルサイユ、フォンテーヌブローなどの宮殿やロワール地方のお城、モンサンミッシェル、ノートルダム寺院や教会。食べ物ではバゲット、クロワッサンなどの美味しいパンや、マカロン、ケーキ、チョコレートといったパティスリー、数多くの美味しいレストラン、そしてエルメス、シャネル、ディオール、サンローランなどの高級ブランドの誕生した国。あげればキリのないほどたくさんの素敵なモノやコトで溢れています。

世界で愛される「日本」。先人たちへの感謝
フランスで「日本」というと、ほとんどの人が目を輝かせ、日本の素晴らしさや彼らの好きな日本の話を力説してくれます。幸いなことにアジア人差別などが取り沙汰されている昨今ですが、私は「日本人」ということで差別を受けたことは今のところありません。
フランス人に日本を紹介する機会も多くあり、そんな時には折り紙を折って、ポケモンをはじめとした漫画系、マリオなどテレビゲームの話をすれば子供たちのハートはイチコロ。大人たちとの持ち寄りやディナーでは、お重に入れた巻き寿司を風呂敷で巻いて持参すれば大人たちのハートもイチコロです。
とにかく日本といえば清潔、丁寧、勤勉、正直、正確、高い技術力、独特の素晴らしい文化などなど、褒め言葉が飛び交い、先代の日本人の方々に本当に感謝の毎日です。

「来ればラッキー!」驚きと不便に溢れた日常(笑)
そんなフランスですが、日本の生活や価値観、常識とは考え方が異なることも多く、快適!とはとても言い難い毎日です。日本のような迅速丁寧、正確で快適なサービスは全く存在しません。
宅配はあまり正確に届かず、それでも最近は「明日」と言えば次の日に届くことも多くなってきましたが、決して「確実」ではありません。来ればラッキー!来なくても「紛失でなければ許容範囲」。置き配で届いたものが盗まれることも珍しくありません。
以前の配達指定は「月曜から水曜のいずれか」だったので、大型の荷物は月曜から待機しなければならず、配達された日に留守をすると電話をかけても繋がらない。次の配達までが本当に大変でした。
郵便は国内でも明日の時もあれば1週間かかる時もざらです(苦笑)。以前フランスからクリスマスに日本の友人と両親宛てにチョコレートの小さな小包を送りました。両親へはなんと1週間で到着! 一方、友人には1ヶ月経っても届かず、紛失と諦めていたら3ヶ月後に、なんと川崎港から届いたと。
小包に付箋があり、イスラエルに航空便で誤送され、その後、船便で3ヶ月かけて到着したそうです。溶けて固まって、を繰り返したようなチョコレートが届いたようです(苦笑)。なぜイスラエル? でも一応無事に(?)届きました。

お店などのレジでは「お客様の商品を丁寧に扱う!」という考えはないので、軽く放り投げられ、洋服などはたたんでくれることはほぼなく、クルクルっと丸めて渡されます。
ラッピングをお願いすればテープがそこらじゅうに貼られたり、ホチキスだらけの袋ラッピングだったりと、見栄えもちょっとねぇ・・・という状態なので、最終的に包装紙をもらって自分で包んでいます。
店員さんの機嫌はマチマチで、接客中も携帯で動画を見ているか同僚と話をするなど割と客対応は後回しです。病院の受付などでも手続き中に同僚が現れ、彼らとのおしゃべりに花が咲き後回しにされることも多々あります。
最近はYouTubeやインスタでその様子をなじった動画も出ていて笑ってしまいますが、それを彼らも見て一緒に笑っているので改善されるまではしばらく時間が必要かもしれません(苦笑)。
電車に乗りたいけど券売機が故障中で切符が買えない。最近では携帯にアプリをダウンロードするとチケットが購入でき、画面にピッとタッチして電車やバスに乗れるようになりましたが、肝心の改札の機械が動かず通れないことも多々。改札に駅員さんがいることも稀なので、ひたすら駅員さんを待つか…飛び越えます(!)
ボーッとしているとすれ違いざまにスリにあうこともしばしば。彼らは本当に上手なんです!幸い貴重品類のスリにはあったことはないのですが、貴重品以外は何度もあります。怪しげな人ではなく、普通の学生や会社員のような風貌の人も男女問わず、スリの可能性がありますから、「自分以外は全て敵!」という意識で常に行動する必要があります。
ちなみに、電車は改札のない駅もあり、バスは日本のように前から乗って後ろから降りる、またはその逆のようなルールはなく、開いた扉から乗り降りできる、つまり無賃乗車が可能です。
ただし抜き打ちでコントロールの人たちが乗り込んで、一斉に切符検査が始まることがあります。係員が各ドアで待機していて、この時ばかりは乗車券を見せないと乗降できず、逃げるのは至難の業です。
無賃乗車の場合、その場で70ユーロ*1の罰金、後日支払う場合は120ユーロになります。罰金をとる人を雇うくらいなら、無賃乗車できない改札を作った方がよいのでは?と思うような、ルールが曖昧なことも多いです。
*1 ユーロ(EUR):欧州連合(EU)に加盟している多くの国で流通している共通通貨。2026年3月時点のレートで70ユーロは約12,800円、120ユーロは約22,000円
――後編へ続く