日本と留学生の絆をつなぎ母校へ恩返ししたい
中国出身の留学生が東洋大学、そしてカリフォルニアで学ぶ
みなさん、こんにちは。2011年経営学部経営学科卒業の李明と申します。私は、ハルビンという中国で最も寒い地域の出身です。ハルビンは日本の北海道とほぼ同じ緯度に位置し、冬はマイナス30度の寒さになります。高校を卒業後、日本の『亜細亜友之会日本語学校』で2年間日本語を学び、その後東洋大学に進学しました。
東洋大学へは留学生として入学しましたが、3年次には交換留学生としてアメリカのカリフォルニア州に1 年間留学する機会に恵まれるなど、母校は私にとって幅広い学びのチャンスを与えてくれる存在でした。卒業後は、花王株式会社に新卒で入社しますが、早いもので、入社後13年が経ち、現在も同社で中国・香港・台湾向けのマーケティングの仕事をしています。
中国から日本へ、更にはアメリカへ留学
東洋大学の3年次に交換留学の機会を得ましたが、留学生がさらに他国に留学する経験はあまりないかもしれません。留学生へのメッセージとしては、日本へ留学中に、さらに海外へチャンスがあれば多くの経験を積むことをおすすめします。
私の経験としては、交換留学先の大学がアメリカのシリコンバレーにあった関係で、中米交流協会主催のイベントに参加した際、中国各地から来た政府関係者と知り合ったり、ノーベル賞を受賞した先生の講演に出席したりするなど、貴重な機会が得られたりしました。
また、留学先は寮生活で、アメリカ人を含む世界31カ国から集まった72名が一緒でしたが、様々な国の文化に触れながら過ごした約1年は、忘れがたい思い出であり、東洋大学での学びがあったからこその体験です。
そして、最も印象的で楽しかった体験として、冬休みに列車や車などを利用し、1ヶ月以上かけて約20州を旅行したことです。壮大なアメリカの自然を見たり、フロリダ州のディズニーテーマパークへ足を運んだりと、余すことなくアメリカを堪能しました。
海外で働くことの難しさ、そして、やりがいを感じる時
花王に入社後、まずは花王カスタマーマーケティング株式会社に出向し、販売の経験を積むことになりました。販売の流通開発部に所属していた時には、就職活動で大変お世話になった東洋大学就職・キャリア支援部から、就職活動中の学生たちに、現在の仕事を紹介してほしいという連絡をもらい、自分の経験が活かせるならばと、大学の就活生たち向けの「先輩たちの仕事紹介」に記事を掲載させていただきました。
それから月日は過ぎ、入社6年目にして出向先から花王本社に戻ることになり、花王株式会社のハイジーン&リビングケア事業部門で、中国・香港・台湾のマーケティング業務(現職)を担当することになりました。
入社当初から一貫して販売に携わってきましたので、本来ならば日本国内のマーケティング業務を経験してからの方が、海外業務にスムーズに移行できるのですが、私の場合、いきなり中国・香港・台湾の海外マーケティングを担当することになったので、正直戸惑いが隠せませんでした。
日本でのマーケティング経験がなく、かつ日本語の壁もあったため、最初は『消費者インサイト』『商品コンセプト』といった基本的な専門用語も理解できず、大変苦労しました。
幸いなことに、海外チームは国際化が進んでおり、同僚たちは皆、海外留学経験や海外駐在の経験があり、英語も堪能で、尚且つ異文化に興味を持っていましたから、外国人社員の私にも、親切に教えてくださいました。お陰で私も徐々に仕事に慣れ、気が付いたら、あっという間に6年が経過していたのです。
この6年間で最もやりがいを感じたのは、2019年に上海で開催された中国国際輸入博覧会に参加したときです。この博覧会では、花王という会社や、私が担当している『キュキュット』『クイックルワイパー』『マジックリン』などの商品を中国の消費者に紹介する機会が与えられたのです。この経験は、19年間の日本生活で最も実現したかった夢である「中国と日本の架け橋になりたい」という思いを実感することができました。
留学生と日本人学生とを繋ぎ、交流を深めたい
大学を卒業して13年目になりますが、校友会の海外支部である『中国出身者会』の活動にたびたび参加してきました。参加者のほとんどが中国出身の仲間で、出身地は様々ですが、私たちに共通しているのは、東洋大学出身であり、また日本のことが大好きだということです。
このような思いから、今後は中国人の卒業生だけでなく、現在在学中の留学生や、中国の文化や中国語に興味がある日本人の卒業生・在学生の方々とも、様々なイベントを通じて交流したいと願っています。
そのため、今年からは『中国出身者会』という名称を『東洋大学留学生OB会』に変更します。活動をより広げることを目的に、まずは、既存のWeChatコニュニティに加えて、新たにFacebookの公式アカウントを作成しました。興味のある方は、ぜひ気軽にご参加いただき、交流を深めていきませんか?
また、これからは、他の大学のコミュニティとも積極的に交流を進めていきたいと思っています。先日、校友会から他大学にも留学生OB・OGと在学生のコミュニティがあることを聞きました。これまで私は個人として、様々な分野の方と交流することを心掛けてきましたが、今後は組織としても、他校の留学生OB・OGとの交流も強化していきたいと考えています。
日本国内の様々な業界で活躍している留学生や、中華圏に関わりを持つ日本人とのネットワークを構築することは、現在東洋大学で学んでいる留学生だけでなく、海外に興味を持っている学生にとっても非常に有益であると考えています。
WeChat(微信群)コニュニティに参加をご希望の方は、WeChat ID:tokyosky521を追加し、申請欄には「東洋大学 留学生OB会コミュニティ参加希望」と書いて下さい。
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最後に
東洋大学に通うことで日本語と英語、そして文化の違いに触れるといった多くの学びの機会をいただきました。現在も母校で学んだことが活かされています。これまでの経験をもとに、留学生をはじめ、海外に興味を持つ在学生の応援をすることで、母校に恩返しをしたいという気持ちをこれからも持ち続けながら頑張りたいと思います。
2011年卒業
経営学部経営学科
李 明