- 新潟県支部
The Niigata Branch
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2014年02月21日
安吾忌が開催されました
我らが東洋大学の校友で新潟市出身の作家,坂口安吾の命日にあたる2月17日に新潟市秋葉区大安寺で「安吾忌」が営まれました。その安吾忌に仲間と共に列席してきました。その報告です。大安寺は,安吾の父祖の地で,また,安吾が眠る坂口家の墓所の地であります。新津駅に集合して会場に向かいました。新津駅の近くに安吾の文学碑があります。碑文には、「あちらこちら命がけ」とあります。これは、坂口安吾が妻の三千代に送った色紙から取られたものだそうです。「あちらこちら命がけ」の裏には、新潟を舞台にした坂口安吾の長編小説「吹雪物語」の一節を直筆原稿から取ったものが刻まれています。この場面はヒロインの澄江が、新潟から神戸経由で新京(満州)へ向かうため、汽車に乗っている場面です。
「あちらこちら命がけ」の文学碑
新津駅から車で10分ほどの大安寺集落開発センターが,安吾忌の会場です。この会場の目印でもあるのが,壇一雄の文学碑です。碑文は「亡き友の泳ぎし跡か川広し」この句は,作家檀一雄氏が安吾の墓参りの時に詠んだ句だそうです。
壇一雄の文学碑
道草をして前置きが長くなりましたが,集落センターの安吾忌に出席させていただきました。大安寺での安吾忌は,今年で26回目です。平成20年からは,新津安吾の会,安吾の会,松之山安吾の会とともに東洋大学校友会も併催ということで協力しております。事務局を担当する新津安吾の会の方の司会で開会し,金子めぐみ衆議院議員の挨拶,地元大安寺自治会長の歓迎の言葉,「新津安吾会」の会長,新潟の「安吾の会」の会長からそれぞれ挨拶がありました。
挨拶する金子衆議院議員
挨拶に続いて,「坂口安吾と現代-歴史の見方考え方-」と題して東洋大学名誉教授 神田重幸先生の講演がありました。先生は,「余は偉大なる落伍者となって歴史のなかによみがえる」と,中学校の教室の机の裏蓋に彫って上京した安吾が,様々な仕事に取り組んだこと。大河ドラマに触れながら,安吾は,歴史上の人物としては,黒田官兵衛と直江兼続の二人が好きだったこと。過去の秘められた歴史に挑戦し,歴史のひだに隠された史実に挑戦してきた安吾であるが,安吾の発想は,新潟が起点であると・・・安吾巷談を再度読んで感じたことを紹介していました。
また,安吾にはおびただしい評論,エッセイ,その他いわゆる雑文の類があり,安吾特有の時代史観や歴史観を述べたもの,また文明批評,社会批評として書かれたものが少なくないこと。晩年の安吾文学にみられる特色は,文明批評的認識を主題にするとともに,発展的には時代史観からさらに日本の歴史への再検討という問題にまで批評眼を推し進める点にあったこと。安吾の歴史観の方法が,「歴史というものはタンテイの作業と同じものだ」(「歴史探偵方法論」)という「すべての証拠によって史実を判断する」一般的歴史解釈の方法と同一視点をもちながら,「タンテイの作業」が文学の側からリアリスティックな透視のうちに実践されていることなどを資料を用意しわかりやすく講演していただきました。
講演風景①
講演風景②
講演の後は,墓所に移動して法要が営まれました。浄明寺の副住職・藤井養正氏の読経と参加者約90人が墓前に手を合わせました。墓前祭のあとは,各安吾の会の皆さん,地元選出の県議・市議の皆さん,秋葉区の文化関係者などが安吾に寄せる思いを語っています。校友の渡辺仁新潟市議会議員も毎年安吾忌に参加していること。安吾の会,地元大安寺の自治会・老人クラブ,そして校友会が共に力をあわせこの安吾忌を続けていくことを誓っていました。
校友会からの献花
地元の皆様による甘酒のおもてなし
墓前で手を合わせる校友
挨拶をする校友の渡辺仁新潟市議会議員
墓前祭のあとは,場所をかえて懇親会が行われました。杯を交わしながら,安吾の作品や安吾の人柄など楽しく語り合っていました。
懇親会風景①
懇親会風景②
毎年,安吾の命日の2月17日に安吾の眠る新潟市秋葉区大安寺で「安吾忌」が営まれています。次の機会に校友の皆さんとお会いすることを楽しみにしています。
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